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2010年08月 アーカイブ

動物から人に感染する病気 3

現在、エキノコックスには数種類が知られていますが、そのなかで、日本に存在するのは、単包虫(親虫は単包条虫という)と多包虫(親虫は多包条虫)の2種類です。


単包虫は、幼虫が中間宿主の体内で、大きなひとつの袋に発育します。


多包虫は、幼虫がやはり中間宿主の体内で、小さな袋の、あるいは小室の集合状になり、ちょうど茎節がたくさんできるサボテンのようになります。


人とウシの包虫がイヌの条虫の幼虫であることを明らかにしたのは、ドイツのロイカート(1862年)とクラベ(1865年)の2人の研究者です。


これは現在単包虫と呼ばれている虫のことです。


ところが、ヨーロッパでは、ババリア(現在の西ドイツ南部)やチロル(オーストリア西部からイタリア北部)などで、人に対して単一の大きな袋でなく、小さな室の集合した房状の病変が観察されていました。


これについては、それまで知られていた包虫が、なにか異常な病理発生をした結果であろうと考えられていました。


この考えを主張したのは、有名なドイツの病理学者であるビルショウ(1855年)です。


しかし、これに対して、この病変はまったく別種の包虫の感染であると主張したのは、さきに出てきたロイカート(1863年)で、かれは単一の袋状の形をとるこれまでの包虫とはまったくちがった種類の包虫であるとして、これに多包虫という名称をつけました。

動物から人に感染する病気 4

この2つの包虫が同じものなのか、あるいはちがった種類のものなのかは、その後約1世紀の間、科学者たちのあいだで論争がくり返されました。


そしてこの両者は、現在では、2つのちがった種類であることが明らかにされています。


さて、日本で包虫病の患者がはじめて発見されたのは、ある博士によれば、1881(明治14)年のことで、九州の熊本医学校(現在の熊本大学医学部)で発見されました。


これはエキノコックスのなかで単包虫と呼ばれる方です。


多包虫の日本での最初の発見は、1937(昭和12)年で、患者は北海道・礼文島出身の婦人です。


では、この単包虫と多包虫について、どのようなちがいがあるのか説明しておきましょう。


単包虫の親虫は単包条虫、幼虫は単包虫と呼ばれます。


親虫である成虫は、宿主動物の小腸に寄生します。


ところが、成虫自身はひじょうに小さい条虫で、長さは5~6mm、片節の数は数個です。


片節というのはつらなっている短いからだの節のことです。


成虫はこのように小さいので、多数寄生しても、成虫の寄生による障害はみとめられません。

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