動物から人に感染する病気 3
現在、エキノコックスには数種類が知られていますが、そのなかで、日本に存在するのは、単包虫(親虫は単包条虫という)と多包虫(親虫は多包条虫)の2種類です。
単包虫は、幼虫が中間宿主の体内で、大きなひとつの袋に発育します。
多包虫は、幼虫がやはり中間宿主の体内で、小さな袋の、あるいは小室の集合状になり、ちょうど茎節がたくさんできるサボテンのようになります。
人とウシの包虫がイヌの条虫の幼虫であることを明らかにしたのは、ドイツのロイカート(1862年)とクラベ(1865年)の2人の研究者です。
これは現在単包虫と呼ばれている虫のことです。
ところが、ヨーロッパでは、ババリア(現在の西ドイツ南部)やチロル(オーストリア西部からイタリア北部)などで、人に対して単一の大きな袋でなく、小さな室の集合した房状の病変が観察されていました。
これについては、それまで知られていた包虫が、なにか異常な病理発生をした結果であろうと考えられていました。
この考えを主張したのは、有名なドイツの病理学者であるビルショウ(1855年)です。
しかし、これに対して、この病変はまったく別種の包虫の感染であると主張したのは、さきに出てきたロイカート(1863年)で、かれは単一の袋状の形をとるこれまでの包虫とはまったくちがった種類の包虫であるとして、これに多包虫という名称をつけました。