動物から人に感染する病気 5
成虫が寄生する終宿主は、イヌ科のイヌ、キツネ、ディンゴ、ジャッカル、オオカミ、コヨーテ、ハイエナ、タヌキ、ジャコウネコ科のマングース、ネコ科のライオン、ヒョウ、イタチ科のなかの2種類などです。
ネコは含まれないようです。
これらの動物のうちで、人への感染を考えた場合、重要なのはイヌとキツネです。
中間宿主は、ひじょうに広範囲で、有蹄類、長鼻類、食肉類など60種以上が知られています。
これらのなかで、ウシ、メンヨウ、ブタなどの家畜が重要です。
イヌ、ネコが中間宿主として、単包虫に感染することもあります。
人とサル類は、単包虫にも、あとでお話する多包虫にも、両方に中間宿主として感染します。
単包虫の感染は、広く世界各地でみられています。
家畜(有蹄類)が主要な中間宿主ですから、牧畜の盛んな地域に多く、主としてイヌとメンヨウ、ウシのあいだで感染のサイクルが維持されています。
つまり、イヌが終宿主で、メンヨウやウシが中間宿主となっているわけです。
日本でも、単包虫の感染が家畜、人ともに知られています。
家畜については、北海道をはじめとして、各地で感染が確認されています。
日本ではじめて家畜の単包虫がみられたのは、1893(明治26)年で、九州のと畜場においてです。
感染動物は中国から輸入されたウシでした。
文献によると、その後1895(明治28)年に松山でウシから、1937(昭和12)年に東京でウシ、ウマ、ブタから、さらに1939(昭和14)年から1954(昭和29)年までに東京・芝浦でブタ4例、ウシ4例から検出されています。